幸せもらったコスタリカ

目次

いざコスタリカへ 2

散髪 3

サルセロ 3

アラスカ出身の美少年 4

大ピンチ!? 5

ホームステイ 5

冒険の始まり 7

リチャードのパン屋 9

お気に入りのスウィーツ 10

ボランティア 11

オーガニック・ファーム 12

海水浴 13

ハプニング 14

ココナッツ狩り 14

ベジタリアン 15

結婚指輪 16

犯人 16

イグアナ・ファーム 17

APPTA 18

ボランティア開始 19

滝をもとめて… 22

マラリア 24

リチャードの悩み 24

バースデー 25

娯楽 25

お別れ 26


いざコスタリカへ

成田空港で驚かされたのはタバコの多さ。カフェでランチをしている私の周りでプハー、プハー。男だけじゃなくてあんなきれいな女の人まで。せっかく楽しく食事をしようと思っているのに、息苦しくなってきた。雰囲気も味も満足なカフェだったけど、早く食べて抜け出そう。今日、200325日から約一ヶ月半の一人旅が始まる。第一目的地はコスタリカ!

12時間のフライトでアトランタ空港へ向かっている。私の隣に座っている男性はアメリカ・ノースキャロライナ出身の軍人で、韓国に1年間働きに行っていたそうで、1年ぶりに妻と4人の子供の顔を見るのが楽しみらしい。

隣の男性:「僕は今までにも世界中へ軍隊の仕事で行ったことがあるんだ。各国で紙幣を集めてるんだけど、まだ日本のものは持ってない。よかったら見せてくれるかい?」

大丈夫かなー、ここで財布からお金を出してもあとで「ない!」なんてことはないよねぇ…。あまり気は進まないけど、

私:「これが日本の千円です。」

男性:「これはアメリカドルで言うとどのくらいの価値があるの?」

私:「だいたい$10くらいかな。」

そんなこと聞いても、絶対あげないんだから。


私の前に座っている母親と女の子は、英語も日本語もあまり話せないのに乗務員に何度も何度も何かを訴えようとしている。

乗務員:「どうなさいました。寒いですか?」

4人目ぐらいにやっとわかったのは、母親に熱があるので何か薬をもらいたいらしい。女の子は、私に遊んでほしいらしく、さっきから何度もこちらへ顔をのぞかせている。

私:「What is your name? (名前はなんていうの?)」

女の子:「日本語わかりましぇーん。」(日本語で)

めっちゃカワイイ!

隣に座る軍人さんはとってもいい人だった。別れる前に千円と$10を交換してあげることにした。レート的には私のほうが得をしちゃったかな。


アトランタ空港はすごい!何がすごいって、まずでかい。そして入国審査がかなり厳しい。何でコスタリカに一人で行くのか、語学学校の証明書を見せろとか、あーもう!その後の荷物検査、ボディーチェックなんて、まるで私を何かの犯人みたいに扱って!

それはそれとして、他にすごいのは、到着ターミナルは巨大な美術館みたいだ。そして出発ターミナルは、これまたショッピング・モールだ。いよいよ、アトランタ空港からマイアミ空港へ、レッツ・ゴー!


マイアミ空港には夜に到着したけど、コスタリカへのフライトは朝早いので空港で仮眠をして待つことにしよう、と思っているところへ

ある男性:「こんにちは。どちらへ旅行ですか?」

私:「コスタリカに行くところなんです。あなたは?」

男性:「僕は南米各地を1ヶ月ほど旅行して、これから日本に帰るところです。」

千葉県出身の日本人男性(百瀬さん)に声をかけられた。彼はいつでも走ってバスに乗れるようにと、小さなリュックサックのみを背負い、流氷までも見に行ってきたなんて。私もかなり努力して荷物を最小限にしたつもりなのに、この大きなバックパックとこの小さいリュックサックはパンパンに詰まっている。

話を始めると盛り上がってしまい、一睡もしないうちに朝が来てしまった。いろんなアドバイスをもらい、これからの旅に自信が出てきた。がんばるぞ!


散髪

日本で出発する前に髪を切ろうかどうしようか、さんざん迷ったあげくコスタリカで試してみることに。

私:「すみません、この近くでお勧めの美容院はありますか。」

女性:「向かいのショッピング・モールの中にひとつあるよ。」

ちょっと男前な美容師さんだと思って安心していると、おかっぱにされた!冗談ではない、いくら笑い話になるといっても、こんな髪型で外は歩けない。何とか説明・指導をしながらやっとましになった。最後に整えようとしてくれたのはいいけど、何度も何度も同じ箇所を引っ張りながらドライヤーを当てるため、「熱いよ〜!」そんなに繰り返すと髪が痛んでしまうじゃないか!

私:「もういいです、やめてください。」

必死に熱さをこらえていたけど、もういい加減に我慢しきれなくなった。頭皮がやけどした気がする。




サルセロ

首都のサンホセから2時間ほどバスに乗ってサルセロという村を目指す。隣に座っているおじいさんはペラペラと良く話す。一生懸命聞いているが、彼のスペイン語は半分も分からない。なにやら、私にサルセロに行くのをやめて彼の住む村に来いといっている。

おじいさん:「サルセロにもきれいな山があるけどな、わしの村には、美しい山と川があるし、釣りに連れて行ってやるし、今夜はうちに泊まればいいぞ。」

悪い人ではなさそうだけど、私はサルセロにある教会を見に行きたい。

そしてバスから降りた私の目の中に飛び込んできたものは、

「うわぁー、ここは?」

教会の前には動物の形や面白い形に剪定された庭木がたくさん。愉快な気分になってきた。






アラスカ出身の美少年

ライアンはアラスカ出身のキュートな男性。2週間ほど前から私の泊まっているホテルに滞在しながらスペイン語の語学学校に通っている。このホテルにはキッチンがあり、自由に調理できるため、お金を節約できるが、たまには外で食事をしようと、一緒に夕食に出かけることにした。


ウェイター:「Ciao!(こんにちは)」


タリヤ料理のレストランに入ってみた。スパゲティを注文したけど、値段は高いし味はいまいち。今夜は失敗してしまった。



はり現
地の料理を食べるのが正解。コスタリカの典型的な料理は、お米・豆・お肉・南国フルーツを中心としているもので、私の口にとても合う。


ライアンの当初のコスタリカ旅行計画は、数週間スペイン語の語学学校へ通った後、コスタリカの観光地巡りだった。一人のキューバ人男性との出会うまでは…。

彼は一週間ほど前にコスタリカで知り合ったキューバ人男性とともに、なんと、アメリカに不法侵入する企てだ!まず、サンホセからバスで6日間かけてメキシコ・シティまで移動し…、その後の侵入計画はまだ立てていない。ライアンは写真家でもあり、作家でもあるため、この一連の冒険物語についての記事を書くつもりだ。無事でいてくれますように。


大ピンチ!?

「えー、なんで? あと$160しかない!」

1週間の語学学校とホームステイに必要な資金$400を引き出すと、20万円以上入れておいた私の銀行の口座から14万円程度が消えた。

私のコスタリカ旅行の計画は、

26日〜29日:  コスタリカの首都サンホセの街歩き

210日〜216日: ホームステイしながら語学学校へ通う

217日〜35日: エコツアーに参加

環境保護や地域活性化の活動をしている団体の訪問

観光地めぐりなど

これから1ヶ月にかけてコスタリカを旅しようと「ドキドキ・ワクワク」なのに、$160では1週間のホテルと食事代くらいで終わってしまいそう…。

Eメールにて)

私:「パパ、ママ、大変。コスタリカの両替レートは超悪いらしく、お金がなくなってしまったよー。至急に支援をお願い!

ママ:「30万円以上口座に入金したので心配しなくていいよ。」

あーよかった。これで安心して旅行が続けられそう。さっそく口座を調べにいこう。


(口座を調べて)あれ?ママは30万円以上あると言っていたのに$160のままじゃん。このATMが悪いのかなぁ。いくつか他銀行のATMで挑戦してみるが、金額を調べるたびに手数料がかかり、少しずつお金が減っていく。仕方ない、$10を残して$140を引き出すことにしよう。


ホームステイ

とりあえず、ホームステイと語学学校は1週間$400という約束で申し込みをしてあるのでやめるわけにはいかない。今週はできるだけ節約して過ごそう。

私:「お昼のランチにサンドウィッチを作らせてもらえますか?

ホストマザー:「もちろん、自分の家だと思って、遠慮はいらないよ。」

ホームステイの金額には昼食代は含まれていないけれど、ホストファミリーの好意に甘えてしまおう。



それにしても、この家族のなんと金持ちなこと!広く美しい家、お庭の一角にはパーティのためのオープンテラス、高級な家具や装飾品がある。それに、1日おきに家政婦さんが来て、料理・掃除・洗濯・ベッドメイク・93歳になる祖母のお世話というぐあいにほとんどすべての家事をしてくれる。ホストマザーのマリアは専業主婦で買い物以外にはほとんど家にいるというのに。なんと幸せなことだろう。

語学学校から帰ると私の部屋はきれいに掃除されていた。

私:「私は1週間しかいないし、部屋は自分で掃除できるから、何もしなくていいよ。」

家政婦のオードリー:「お嬢さん、そういうわけにはいきません。これは私の仕事なので。」

彼女は朝早くから夜遅くまでよく働く。家政婦の給料はとても低いらしい。


よし、1時間くらいで語学学校からホストファミリーの家まで帰れると聞いたので、歩いて帰ってみることにしよう。

「ゲホ、ゲホッ」

うー、こんなに排気ガスがひどいとは。空気が黒い。黒い排気ガスが体中に、顔に、目に直撃。息をするのも目を開けるのもいやなくらい。それにここは車優先社会。歩行者のことなんて全く無視してくれている。えーっと、この道でよかったと思うんだけど、

私:「すみません、バルガス・アラヤという地区にはどういけばいいですか?」

通りがかりの人:「バルガス・アラヤ?知らないねー、あそこのお店で聞いてごらん。」

まあいいや。見覚えのある建物もあるし、もう少し歩いてみよう。


きのうは何度も道を尋ねながら1時間くらい歩いて家までたどり着いた。おかげで喉と頭が痛いし、体がだるい。

私:「おはようございます。喉が痛いんだけど、何か薬はありますか。」

ホストブラザー:「このドロップをあげるよ。1粒が5時間分の効果があるよ。風邪に気をつけてね。」



冒険の始まり

とうとう、ホストファミリーにお別れを告げる日がきてしまった。93歳のおばあちゃんは私のことを「リンダ、リンダ(美しい、美しい)」と呼んでいて、朝から何度も抱き合ったり頬にキスをしたりした。


首都のサンホセから約5時間バスに乗り、これから向かおうとしているのはプエルト・ビエホというカリブ海に面する小規模な観光地。この地を選んだ理由は、ATECという環境保護団体の事務所があるためだ。

バスターミナルに行く途中、銀行で日本円からアメリカドルへの両替を試みてみたけれど、無理だった。あと$130で約3週間、何とかするしかない。

プエルト・ビエホに着いたら、宿泊施設かレストランを探して、そこで働く代わりにベッドと食事を提供してもらおう。


私:「わー、海だ。おおきい波だ。」


すがサーフィンで有名なビーチ、迫力のある波だ。さっそく村を歩いて回ると、いくつか雰囲気のよさそうなレストランを見つけた。なかには「日本料理」の旗をあげているところもあって、ここにしようかな!?なんて思ったけど、さっき「はろー」と挨拶してくれたパン屋さんの笑顔が忘れられない。

決めた!あそこのパン屋にしよう。



パン屋さんの前には数人のお客が座っておしゃべりをしていた。少し恥ずかしいな、でも女は度胸精神で、思い切って聞いてみよう。

私:「すみません、お願いがあります。ここで2週間くらい働かせてもらえませんか?そしてその代わりとして寝る場所と食事をもらいたいのですが…」

パン屋のご主人はちょっと困惑した様子で私の顔を見つめてきた。あ〜、どうしよう。


私:「掃除、洗濯、家事などできることは何でもするので。」

パン屋さんの名前はリチャード。彼は私の話を真剣に聞いてくれ、OKしてくれた!

やったー、これで飢え死にすることはない。

リチャード:「それにしても何で僕の場所を選んだの?」


:「このパン屋の前を通ったときにあなたの笑顔を見て…。」

笑われてしまったけど、それが本当の理由なんだからしょうがない。


彼は私の部屋を用意してくれた。ここは蚊が大量に発生するので、部屋の中にテントを張ることになった。埃を叩いて、なんとなく部屋らしくなってきた。




リチャードは、ほぼ一人でケーキとパンを焼き、簡易宿泊施設のキャビナを始めるために部屋を改装している。ときには大工、またときには電気技師、またまた調理師へと“へーんしん!”と、スーパーマンみたい。バナナケーキ、プリン、アップルケーキ、ココナッツパンなどを味見させてくれるんだけど、どれもおいしい。これなら1ヶ月でも滞在してもいい気もする。



リチャードのパン屋

パン屋の正面は木造の素朴なつくりで、リチャードの描いた絵が掛けてあり、田舎のパン屋さんという雰囲気。ただ、コスタリカでは、排水設備が整ってないので、家庭排水はどぶへ直行。時々においが気になる。

それに、熱帯気候なので蚊だけでなく、ハエもトカゲも大量に発生する。




冷蔵庫から出しっぱなしのトマトは “まっくろくろすけ”になっている。トカゲがお菓子の箱の中に入るのも目撃した。そんなことをいちいち気にしてちゃあ、ここでは食べていけないぞ。


リチャードの自宅はパン屋の裏側に位置し、ところどころ、床の木がぐらぐらしているので注意して歩かないといけない。

裏庭には、ごみの山を発見した。鶏や野良犬がゴミ袋を開いてなにやら騒いでいる。私はお呼びでないようだ。


モレリア:「おはようございます。」

モレリアはリチャードのパン屋で午前7時から12時までの間パートタイマーとして働いている18歳の女性。結構しっかりしていると思っていれば、彼女は1歳の子供の母親だ。私が食器を洗っていると、リチャードは「それはモレリアの仕事だからさおりはしなくていいよ。こっちでオレンジケーキを作るのを手伝って。まず16本のマーガリンと…。」

男らしく、力強いケーキ作り、さあ始めよう!



お気に入りのスウィーツ



バナナケーキ:一番人気は香り高きバナナケーキ。これは本当においしい。バナナがたっぷり入っていて、とてもしっとりしている。甘さもちょうどよく、一度食べると忘れられない。いくつかのガイドブックにもバナナケーキが推薦してあるらしく、多くの人が買い求めに来る。



カプリン:
リチャードのお気に入りはユカプリン。ユカというのは芋系の野菜で里芋に似た味がする。茹でただけのユカに塩をかけて食べるとおいしいし、スープに入れても最高。



パンボン:カリブ諸島に伝わる伝統的なクリスマスケーキ。フルーツケーキのような感じだけど、独特のスパイスが効いている。



ココナッツケーキ:荒めに擂ったココナッツと黒蜜が絡み合い、懐かしいような味が口の中へ広がる。





パティ:カリブ諸島独特のおやつで、子供からお年寄りにまで好まれる。ミートパティとベジタブルパティがあり、スパイスの効いたカレーパンという感じ。リチャードのパティは油で揚げる代わりにオーブンで焼くため、ヘルシー。んー、やみつきになりそうな味。



胚芽パン:私のお気に入りはというと、この胚芽パン。見た目からしていかにも胚芽!という感じで硬そうだけど、スライスした胚芽パンにバターを塗ってトーストした時の、外はカリカリ、中はふわふわの食感。なんと味のあること!これはぜひぜひ日本へもって帰りたい。時々この胚芽パンを残している人がいると、どうして残せるのだろうと不思議に思いながら、ついつい口に入れてしまう。



ボランティア

リチャードは5時前に起きてパンを作っていたみたい。私が6時にパン屋へ行くと、いくつか仕事を済ませて満足そう。今日はココナッツケーキ、クロワッサン(チョコレート・パイナップル・ブラックベリー味)、ブラウニー、プリンを完成させる予定らしい。私は、環境保護団体のATECの事務所を訪ねに行く予定。

私:「ノーブルさんかエレニーさんは居られますか?ボランティアについての情報を教えてもらいたいのですが…。」

リチャードには、34日以内に帰ってくるよと伝え、プンタ・モナという場所へボランティアをしに行ってみることにした。そこにはオーガニックファーム(有機農園)があり、エコツーリズムについて学べるはず。ボランティアとして行けば、13食付で$10。バスに1時間ほど乗り、マンサニッリョという海岸沿いの村に降り立った。ここからプンタ・モナまでのボートが出ているはず。ちょっと聞いてみよう。

私:「あのー、プンタ・モナまでのボートはどこから乗れますか?」

男性:「あそこの白人の男、スティーブンがプンタ・モナにあるオーガニック・ファームのオーナーだから、聞いてみるといいよ。ヘイ、スティーブン!」

スティーブン:「いまボストンからの高校生の団体を待ってるところだから、彼らがついたらボートに乗り込もう。もしよかったら、ボートに積み込むものがあるから手伝ってくれるかい?」

スティーブン:「さあ、ここにある植物は僕が世界中から輸入したフルーツの木や野菜なんだ。全部は積み込めないから、このマンゴと、ジャックフルーツと、オクラと…」

積み込みを済ました私の下半身はずぶ濡れになってしまったけど、まあいいや。いざ出航!

ボートの中で:「キャー、ワー、アハハ、すごい!」

わー怖い。ジェットコースターみたいな迫力。


オーガニック・ファーム


ティーブン:「ようこそ、われらのオーガニック・ファームへ」

私の求めていたものを見つけた!ここは映画「ザ・ビーチ」で見たそのままの風景が広がっている。生きるか死ぬかのサバイバルツアーの始まりの予感!?キャンプファイヤー、テント暮らし、そこに生活するアメリカ人・カナダ人・ヨーロッパ人。ショックなことに、ボランティアは1週間からで、そのほかの訪問客は13食付で$20。聞いていた話と違うけど、仕方がない、2泊することにしよう。

ボート往復$20 + 2泊$40 = 合計$60、これ以上は出せない。ボランティアができないのなら、この楽園で思いっきり楽園生活を楽しもうではないか。

スティーブン:「では、これからオーガニック・ファーム(有機農園)を案内します。ついてきて。」

スティーブンは20代後半のアメリカ人男性。子供たちに自然環境について学んでほしいという思いのもとに、このコスタリカのプンタ・モナに土地を買って移り住み、このオーガニック・ファームを始めた。声が大きくて魅力的な男性。

スティーブン:「この赤い花びらを食べてごらん。おいしくて栄養があるよ。」

「この葉を匂ってごらん、なんだか分かる?実は蚊除けに使われる香料が取れるんだ。」

「このサラダ菜はとってもスパイシーだから、少しだけかじってみるといいよ。」

ここにはありとあらゆる植物がそろってそうだ。スパイシーの菜っ葉は鼻にツーンとくるけど、“からし”みたいでおいしい。素敵なランチができそう。そしてさらに森の奥へ入ると、サツマイモ、ジャガイモ、かぼちゃ、とうもろこし、大豆、トマト、小豆、何種類ものスパイス、フルーツの王様と言われるドリアン、女王様のマンゴスチン、それから…見たことも、聞いたこともない植物がたくさん。

「ザザザザー」

雨!?ではなくて、サルのおしっこだった。もう少しでサルのおしっこのシャワーを浴びるところだった。

「バサバサバサ」

なんだ、なんだ。真っ黄色の羽と真っ赤な体をした大きくて美しい鳥だった。

母屋へ戻ると、なんだかキッチンが騒がしい。

ある女性:「パンのフルーツだよ、味見してごらん。」

んー、なんだろう、甘酸っぱくて、口の中でとろけてしまう。この食感は初めて。

スティーブン:「さあ、みんな集まって!食事の前の儀式を始めよう。輪になって手をつなごう。新しい仲間も何人か入ったところだから、名前・出身国・好きなフルーツを言っていこうか。」

この不思議な“パンのフルーツ”はみんなの一番人気に選ばれた。食卓の上には見たことのない料理の数々が。ここの食事は徹底したベジタリアン料理。肉製品だけでなく、卵・牛乳・バター・チーズなどの乳製品も使われない。あー、残念なことにアイスクリームやケーキもないのだ。


海水浴

いざビーチへ!と、勢いよく飛び込んだのはいいが、黒い木くずが体中について、気持ちが悪い。沖のほうへ出るとましかなと思い、どんどん泳
いできてしまった。気づくと陸があんなに遠くへ。やばい!急いで戻らなきゃ。泳いでも泳いでも大きな波に引き戻されて、海の奥へ引っぱられるよぅ…。

はぁ、はぁ、なんとか足が届くところまでたどり着いた。あー、危なかった。もうこの海は嫌いだ!ここで泳ぐのはこりごり、オーガニック・ファームの探索でもすることにしよう。


ハプニング

現在このファームへ滞在しているのは、世界中から集まったボランティア約20名、私を含める訪問客約10名、そしてボストンからの高校生15名。寝泊りはテントか、蚊除けネット中のベッドかどちらか。私も寝る場所を確保した。ところが、夕食を終えてそろそろ寝ようとベッドへ行くと、なんと私のベッドに男の人が!

私:「あのー、ここは私のベッドなんですけど…。」

男性:「ベッドが足りないんだ。どこかほかのところを探してくれないか。」

なんだこの人は!レディに対してなんて失礼な態度。私の荷物があったのに、謝りもしないし、動く気はなさそう。仕方なく、床で寝ることにした。屋根があるから雨には当たらないけど、壁はないから寒いし蚊がうるさい。もう、我慢ができない!倉庫から手探りで寝袋を引っ張り出すことに成功、これで何とか寝られそう。


ココナッツ狩り

「ブオーーーーーン」

貝の笛で朝食の合図。わぁーおいしそう。見たことのない料理がいくつかあるけど、フルーツが盛りだくさんなのはとっても嬉しい。朝食後、ボランティアの人たちはミーティングを始めた。朝食・昼食・夕食の準備・片付け、部屋掃除、トイレ掃除、畑仕事、周辺エリアの改善計画などなど、いろんな仕事があるみたい。私はココナッツの収穫についていくことにした。小刀を持った男性ボランティア2人と、女性ボランティア2人について海岸を歩き始めた。たくさんのココナッツが足元に転がっているけど、私たちが探さなければいけないのは、よく乾燥していて軽く、実の中にジュースが入っていて振るとチャポチャポ音のするココナッツ。虫食いだったり、湿っていたりするのが多く、なかなかお目当てのココナッツを見つけるのは大変。

数十分後、5人でいくつかのココナッツを集めることができた。そこへ、パティというこの地に70年以上住んでいる老人が小刀を片手に歩いてきた。彼もココナツ集めに来たらしい。奥のほうへ歩いていった。

それにしても、ココナッツの外側の表皮は石みたいに固い。大の男が薪割りをするような感じで何度も刀を振り下ろし、やっと中の実が顔を出す。宝を掘り出すのは大変なのだ。


老人のパティがどうしているのかちょっと様子を見に行ってみると、びっくり!なんと、なんと、彼はすでにたくさんのココナッツを集めていて、中身を取り出す作業を始めている。



「スパッ、スパッ、スパッ」

3度ほど刀を振り下ろすだけでココナッツを取り出した!なんという超人技。見た目は年のいったおじいさんなのに、その細い体が生み出す技は魔力のようだ。

パティ:「君は3日間しか滞在しないのか。そんな短い期間ではこの土地のことは何も分からないじゃないか。もっと長くいなさい。」

彼はスペイン語だけでなく、英語も流暢に話す。時々マイアミに事務所を構えている娘の仕事を手伝いに行くらしい。あっという間に20個以上のココナッツを取り出し、また奥へと歩き始めた。

パティ:「周りをよく見てごらん、いいココナッツはたくさんあるよ。」


ベジタリアン


れにしても、このオーガニック・ファームにはベジタリアンが多い。オーナーのスティーブンを始め、ボランティア員の半数以上がベジタリアンだ。アシェリーという18歳の女性は、今日から“なまもの”のみを食べることにしたらしい。ということは、肉製品・乳製品だけでなく、米・パン・パスタ・加工食品・熱を加えた食品も一切×なんだから、食べられるものといえば、生野菜とフルーツくらいしかない。まだ若いのに、大丈夫なのだろうか。ある男性は、ベジタリアンになってから体重がぐんと落ちて、筋肉もなくなってしまったらしい。好きなものが自由に食べられない食事なんて、私には絶望的だ。

キッチンでは、いつも男性群が大活躍。今日の夕食のメインディッシュは、ロンドンというココナッツ入りのとってもおいしい野菜スープ。ここの食事はどれもすばらしい!


結婚指輪

カナダ出身の素敵な夫婦を見ていると、私までうっとりしてしまう。テントと寝袋をかついで南米から北上してきたらしい。夫のアンディは誰にでも優しく、食事の準備や掃除など、いつも積極的に働く。妻のキャロラインはとてもよく気が利き、とても笑顔がかわいいチャーミングな女性。2人とも話し上手で、2人でいるときは嫉妬するくらいラブラブだ。彼らのすばらしい結婚指輪とは、同じデザインの刺青だ。その薬指に刻まれたきれいな鎖型の刺青は、一生消えない愛の証だ。この2人なら消す心配も一切考える必要ない。なんとうらやましいことだ。


犯人

ボランティア員の中に、ノルウェーから船で世界一周をしてコスタリカへ来たという24歳の男性がいる。彼は兄と友人との3人で半年間航海の旅をしたけど、台風にも嵐にも会わず、運良くコスタリカまでたどり着いたそうだ。

その男性:「ベッドは見つかったかい?」

私:「今日帰る訪問客のベッドを使えることになったよ。」

いま分かった。私のベッドを横取りした人と同じ声だ!彼が犯人だったのか。全然悪気は感じてないみたい。彼の冒険物語はとても興味深いし、かっこよくていい青年だ。まあ許してあげることにしよう。




プライベートで寝られる場所をもらえたので、海の音を聞きながら眠りにつけた。すばらしい日の出とともに目が覚め、気持ちよく海岸沿いを歩いた。今朝の海は、ファンタスティック!


玄米とグラノーラのおかゆ、サツマイモ入りのオートミールのフライ、バナナ、パイナップル、スイカ、グレープフルーツ、つぶつぶの面白い雑穀など、栄養満点の朝食後、みんなにお別れを告げて、再びプエルト・ビエホのリチャードの元へ。




イグアナ・ファーム

リチャードのそばにいると、すっかりカリブ諸島のテンポにはまり、動作がスローになってしまった。このままなんとなく過ごすとすぐに1週間が過ぎてしまいそう。もう少し外の世界を見てみたい気もするのでイグアナ・ファームへ行ってみることにしよう。ヒッチハイクに成功!イグアナ・ファームは原住民族の住む森の中にあった。檻がたくさん並んでいて、その中にはイグアナがうじゃうじゃ。



大きな檻の中には十年以上生きているイグアナもいて、少し怖い。イグアナに囲まれて生活するのはごめんだ。ここではボランティアはできそうにない。あきらめて帰ろう。


帰る途中で自転車に乗った少年が、近くにANAIというボランティア団体があると教えてくれたので、来てみると、たくさんのボランティア員がウミガメ保護活動の学習をしていた。

ある女性:「あなたも参加してみない?たくさん人手が必要になるから。」

ウミガメの産卵を手伝ったりするのは興味があるけど、私には時間に余裕がない。地域活性化を目指している団体を見つけなければ。

ANAIの事務員:「APPTAという団体は地域のためにいろんな活動をしているよ。ここからバスで1時間ほど離れたブリブリという村にあるから、行ってみたら?ボランティアができるかどうかは確かではないけれど。」


APPTA

APPTAの男性:「もちろんできるさ。バナナ農園は週末だけだから、カカオ農園はどう?明日の朝8時半くらいに来てくれたら一緒に連れていってあげるよ。」

私:「明日の朝?!今日からは始められませんか?」


エルト・ビエホに一度帰ってまた明日の朝早く来るなんてできないし、今夜この近くのホテルに泊まるのはいやだし…、彼は上司のウォルターに聞きに行ってくれた。

ウォルター:「タクシー代$4くらいかかるけど、それでもよければ。」


カカオ農園に着くと、とても丁寧なもてなしを受け、カカオの乾燥法・振り分け・袋詰め・見分け方などについての詳しい説明を聞くことになった。一生懸命なのはいいけれど、とても速いスペイン語なので何を言っているのかチンプンカンプンだ。とりあえず、うなずいておこう。チョコレートのあまーい香りが漂って、食べてみたくなるけど、苦いんだろうな。結局、この時期は仕事が少ないということでAPPTAの事務所へ戻ってきてしまった。

ウォルター:「今夜は僕の家に泊まればいいよ。僕はいつも家に戻るのは9時ごろになるけど、冷蔵庫にはたくさん食べ物があるし、鍵を預けるから自分の家だと思ってゆっくりして。フリオにバイクで家まで送ってもらえばいいよ。」





わあぁぁぁぁぁぁお!そこへ、ポツンとログハウスが現れた。ここは楽園?!ここなら、裸で歩いても、大声で歌っても誰にも迷惑をかけることはない。美しい小川、広大な庭、すばらしい自然の中にある秘密の基地、なんとうらやましいことだ。私もこんなところへ住みたい!

こうしてベランダのハンモックに寝そべって外を眺めると、お姫様になった気分。


ボランティア開始

今日から3日間APPTAでボランティアをする予定。フリオのバイクに乗り、まず、スイート・レモンの袋詰めに。APPTAが支援しているカカオ農家、バナナ農家、そのほかフルーツ農家、野菜農家はすべて有機栽培の農家だ。

フリオ:「もう少し必要だから農園の中からもぎ取ってこようか。」

フリオがスイート・レモンの皮をむいてくれ、私にたくさんくれるものだから、食べ食べ歩いていると顔じゅうベトベトになってしまった。あまーいグレープフルーツのようでとてもおいしい。



カカオの木は初めて見た。カカオの実のまわりにはライチのような白い果肉がついていて、甘酸っぱくておいしい。

私:「ペッ、ペッ」

ついついカカオの実までかじってしまった。チョコレートとはほど遠く、苦かった。


続いて、原住民地域内にあるバナナ農園に向かった。バイクに一日中の乗り、日焼けしたし、ガ
タガタの砂利道のせいでお尻が痛い。

帰り道は、パナマとの国境にあたる川沿いをバイクで帰った。川幅も広くなく、ここなら私でも国境越えに成功できそう。



フリオは働き者の35歳で2人の父親だけど、ずっと若く見える。彼の農園には馬もいるし、滝もあるらしい。彼は私をカウイタという国立公園へ案内してくれたり、プンタ・ウバというすばらしく美しいビーチへ連れてきてくれた。話をしていると、妻と子供思いの様子が伝わってくる。そして、私みたいな女性(子供?)思いのことも確かだ。


林を抜けると、そこに広がっていたのは白い砂、絵はがきにしたいような青く透きとおった海、プンタ・ウバ。



私:「あー、水着をもってきてないよー。」

フリオ:「僕は後ろを向いて目をつぶっているから、泳いでもいいよ。」

フリオはとてもやさしいけど、それはちょっと恥ずかしい。

自然にできた洞窟もあって、このビーチは本当にすばらしい!



をもとめて…

私の泊まっている、このすばらしい森の奥にあるウォルターの家の近くにはきれいな滝があると教えてもらった。水着に着替えて、さあ出発!滝壺で泳ぐ気満タン。小川の中をチャポチャポと、上流へ向かって歩き始めた。おおっと、川の中は滑りやすい。カメラを落とさないように気をつけなきゃ。

私:「愛する人よ〜 そこにはあなたが〜」

不安を紛らわすためと、まさかとは思うが、熊よけのために、大声で歌いながら歩いた。途中で川が二つに分かれている。右か左か、私の勘では、右だ!だいぶ歩いたのにまだ滝は見えない。

間違ったかなぁと思っていると、おっ、この音は、

「キャー!すばらしい。」


とうとう見つけた、天然のシャワー。この滝は今私だけのもの。強い水圧が頭の上に降りかか
る。あー、なんて幸せなんだ、夢みたい。この喜びを家族や彼氏にも分けてあげたい。一人で幼稚園児のようにはしゃぎまわった。どうせ誰にも見られないし、聞かれないし。この滝が有名にならないことを願おう。


私は、ボランティアをしようとここへ来たはずだったのに、はじめから終わりまでお客様扱いを受けてしまい、私のやったことといえば観光ばかり。タクシー代以外には宿泊にも食事にもお金をかけていない。親切な人に出会い、多くの貴重な体験をさせてもらった。私はなんて幸せなんだろう。

今夜の夜空は特別美しい。どれが星座かなんて分からないほどの満天の星、きらきら光る蛍の光。目の悪い私でもこんなに見えるのだから、目のいい人なら大変なことだ。この夜景を写真にしようと試みたが、カメラに星や蛍の光は写らないみたい…。あー、ほんとに感動!


マラリア

ブリブリの自然、おいしい水、田舎の人々の素朴な暮らしが大好きになってしまった。ウォルターの家も、本当に快適で、離れたくないけれど、リチャードには金曜日には帰ると約束してしまったし…。精一杯の言葉と態度で感謝をし、リチャードの待つプエルト・ビエホへ。ここは観光地なので、観光客向けのレストラン、土産品店、汚れた水、ドラッグ、売春などからはどうしても逃れられない。帰ってきて、ちょっとがっかり。

リチャードはなんだか元気がない。棚にはケーキもパンもほとんどないじゃないか。

リチャード:「マラリアにかかったかもしれない。」

えっ!?マラリア?熱があって、体調も悪く、何も作る元気がない。おまけに、ドイツ人に「マラリアじゃないか?」といわれたらしい。かわいそうに。なにやら、医学書を引っ張り出してきた。

リチャード:「マラリア、マラリア…。」

真剣な顔でマラリアに関するページを読み出した。高熱だとか、下痢だとか、私も怖くなってきた。ここはパナマに近いから、その可能性がないわけでもない。しかも、大量の蚊から逃げるなんて不可能…。あー、どうしよう。


リチャードの悩み

なんだ、よかった。リチャードはすっかり気分がよくなって、さっそくケーキ作りにとりかかっている。

リチャード:「今朝は停電で機械の調子が悪くて…。」

まだ商品が少ないので、言い訳している。

仕事に関するミーティングから帰ってくると、私に相談してきた。ずいぶん深刻な顔をしている。何かやばいのだろうか、と思えば、電気代の値上がりに頭を抱えているらしい。それともうひとつに悩みの種は、な、なんとドイツのサッカーチームから、サッカー選手としてプレーしないかと招待されているらしい!!でも、このパン屋はどうしよう、戦争が始まったらどうしよう、などと、決心がつかないらしい。

リチャードはサッカーがうまい。先日試合を見に行ったとき、彼はチームのエースストライカーとして大活躍だったし、3つのゴールと、2つのゴールのアシストを決め、チームは52で勝利。夢の中でもサッカーのことばかり考えているらしい。男なら、一度のチャンスにかければいいのに。一緒に暮らす家族もないし、別に思い残すことはないんじゃない?ここでのゆったりとした平和な生活、愉快で気楽な友人関係はないかもしれないけど、あなたの前には無限の可能性があるじゃないか。リチャードのプレーする姿をテレビでぜひ見たい!

彼は別れた奥さんと2ヶ月程度ドイツに住んでいたこともあるので、日常生活には全然問題はない。ドイツ人女性の友人もたくさんいる。

リチャードは私に、留守の間このパン屋を世話してくれないかと、もちかけてくるが、私には私の夢があるし、いくらリチャードの頼みでもそうはいかない。


バースデー

電話:「プルルルルルル」

リチャード:「もしもし」

電話:「ハッピーバースデー!」

朝早くからリチャードの母親から電話がかかってきた。今日はリチャードの誕生日だ。私はこの日のためにいろいろと準備をしていたのだ。昼食に、ニョッキとサラダ、夕食には焼き飯とコロッケ、デザートにはナッツクッキー。コロッケはとてもおいしくできて、危うく一人で食べちゃいそうになったけど、ちゃんと数は足りそう。ニョッキはなかなかまとまらず、小麦粉を何度も足した。こちらには、強力・中力・薄力の違いはなく、小麦粉しかない。小麦粉団子のような味だ。団子汁にすればおいしいかもしれないけど、味噌はないし、ミートソースを絡めればおいしくなることを願おう。

私のプレゼントをとっても喜んでくれ、箸の使い方はすぐに覚えてしまった。

リチャード:「んー、おいしいね。この味はとても好きだ。」

夕食後は、ロマンチックに海岸沿いを歩いた。蛍が海にたくさんいるのはなんとも不思議。彼がリチャードじゃなくて彼氏だったらなぁ…。リチャードは私にここで一緒にパン屋をしようなんてほのめかすが、ごめんなさい。次の誕生日にはリチャードに似合う女性が現れることを願おう。



娯楽


リチャードの友人とその彼女が、またドミノゲームをしようとやってきた。初めてやったときは、つまらないゲームだと思ったけど、何度もやっていると、頭を使う奥の深いゲームだとわかり、面白くなってきた。リチャードと私がペアを組むと、いつも勝ってしまう。












モレリアは私たちが遊んでいる間、洗濯や食器洗いを済ませていた。少しかわいそうな気もする。自分の写真を一枚ももっていないらしいので、たくさん撮ってあげた。

夕食後、リチャードについてビリヤードを見に行った。テレビで見るような、玉を自由自在に操る負け知らずの男性が一人いる。私の目は彼にくぎづけになってしまった。

私もやってみたかったけど、下手すぎて笑われるのはいやなので、やめておこう。日本に帰ったら練習しよっと。


お別れ

リチャードは、私が起きてくるまで胚芽パンを作るのを待っていてくれた。胚芽パンは、私の大のお気に入り!

リチャード:「まず、水を40度まで温めて…。」

残念。焼きあがる前に私のバスに乗る時間が来てしまった。作り方を見られただけでも十分満足。

リチャードに知り合えて、本当によかった。「さおりがもっと近くに住んでいて、彼氏がいなければ結婚を申し込んだのに…。」と、悔しそうだけど、いつかいい人が見つかるだろう。彼とはずっと連絡を続け、いつかドイツで、またはコスタリカで必ず再会したい。

首都のサンホセに向かうバスに乗り込んだ。これからメキシコへ飛び、数日間ゆっくりと観光し、その後はカナダで友人とスノー・モービルを楽しむ予定。凍った湖の上や、雪山をスピード出してドライブすると、寒さなんて忘れてしまう。

今回の1ヵ月半の一人旅、一時は大ピンチ!どうなることかと両親まで心配させてしまったが、お金がなくなったためにとびっきりのすばらしい経験ができた。行く先々で親切な人と出会い、感謝しきれないほどのやさしさをもらった。

アトランタ空港でアーミーナイフを取られたり、トロント空港で荷物がなかったりと、いくつか不運もあったけれど、どんなことが起こってもあきらめてはいけない!困ったときほど人のやさしさが身にしみる。

やはり人生、旅に生きろ!いつまでたっても私は浮浪人生から抜け出せない。



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